ワーママが感じる現実と理想のギャップとは

休業法の改正によって導入が義務付けられている時短勤務制度。この制度を利用する労働者は年々増加している。ワーキングママにとっては仕事と育児を両立できるため理想的な制度であるかのような印象を受けるが、その現実は仕事面や待遇面で不満を感じている労働者が多いのだ。まず仕事面では時短勤務制度を利用し始めると同時に、雇用側がその従業員をキャリアアップの教育対象から外してしまうケースが挙げられる。これまで受講できていた研修が受けられなくなるだけでなく、子どもが体調を崩すたびに欠勤しなければならないため日常業務は責任が軽い単純作業の割合が増えるのだ。子どもが大きくなってフルタイムの勤務に戻ったら管理職になりたいというビジョンを描いていた従業員にとっては、大きなギャップを感じることになる。

待遇面では会社が負担してくれていた通信教育費が自己負担になるケースなどが挙げられるが、中でも大きな不満を生んでいるのは給与に関することだ。時短勤務制度の導入に関しては法律で義務付けられているが、労働時間が短くなったことに伴う給与の減額については明確な規定がないのだ。そのため15年以上も勤務しているのに新入社員と同程度にまで給与を減額され、トラブルになった事例もある。フルタイム勤務で責任範囲の広い仕事を任されていた頃と時短勤務であたりさわりのない仕事ばかりを与えられる現実とのギャップに悩み、就労意欲を低下させてしまうケースは職場におけるあるあるなのだ。このような労働者のモチベーションを高め、その人材を上手く活用していくことが時短勤務制度を導入する企業にとっての課題だといえる。